発電プラントでは機器の点検期間を短縮して、より機動的かつ効率的な運用が求められている。蒸気及びガスタービンの車室用大径ボルトの緩め及び締め作業は長時間を要し、工期を短縮するための課題だけでなく、代表的な3K作業であるため、その改善が必要とされていた。
一般に用いられている抵抗線ボルトヒータでは、輻射と熱伝導によって加熱する間接加熱であるため加熱効率が悪く、昇温に長時間要する。また、長時間の加熱によってフランジ側の温度も上昇するため、規定以上のボルトの伸びやフランジ側の温度が下がるまでに長時間が必要であったが、高周波誘導加熱を利用し、ボルトに直接誘導電流を投入して高効率にボルトを加熱できる「高周波ボルトヒータ装置」を開発した。
本装置は、タービン車室等穴あきボルトの締め緩め作業を安全、確実、簡単に行うために三菱日立パワーシステムズ(株)殿と当社で共同開発、実用化した技術であり、各発電プラントの工期短縮に貢献している。
高周波ボルトヒータ装置は、誘導加熱特有の急速加熱によるボルトの劣化を防ぐため、投入電力を制御し、ボルト材が降伏しない温度範囲になるように加熱時間を管理する。投入電力及び加熱時間は、ボルトの仕様により設定されるが、本加熱条件の設定は実験に裏付けされた理論解析に基づいており、十分な信頼性を確保している。
また、本装置は、蒸気タービン(発電用・舶用・駆動用等)、ガスタービン、水車、ディーゼルエンジン、圧力容器、高圧フランジ、主塞止弁等の組立て、開放作業に広く適用できる。
DATAデータ
- エリア
- 国内外
- サービス
- 穴あきボルトの焼き締め・緩め装置の販売又は貸出し、指導員の派遣
- 技術
- 高周波誘導加熱
- 時期
- 1992年~